| もしあなたが中間管理職なら、「部下を100%管理、コントロールすることは不可能」ということを認識しましょう。人は教育を受ければ受けるほど「違い」が顕在化し、揃わなくなるものです。
人間は元々バラバラの方向を向いており、勝手なことを考え、意図しない方向で話が伝わる、これが当然の姿なのです。「ベクトルを合わせよう」、「組織を統率しよう」、「意見(こころ)を一つにし、目標に向かおう」、と考え出すと管理職本人がつぶれてしまいます。
部下個人一人一人について正しい情報を得ることは不可能です。仮に正しい情報があったとしても、その情報を自分のモノとして活かすことは更に難しい。「人は根本的に違う」のであり、その管理職が「良い」と思ったことでも、「最悪」、と思われてしまうことがあるからです。
部下マネージメント成功のポイント
● 焦らない
● あてにしない
● 甘えない
● 頭にこない
● 侮らない
事例:
資格手当制度が新設され、会社指定の資格を取得した社員に数万円の手当てが支給されることになった。この給料の上がらない時代、それを知った管理職は部下の資格取得を奨励し、「皆で一緒に頑張ろう!」と声をかけたところ、「時間外の行動を強制された。パワハラだ。」と非難された。
実際にパワハラにあたるのかどうかの判断は専門家に譲りますが、この場合、上司の部下を思う気持ちと、部下の気持ちが全くかみ合わずコミュニケーションギャップが起こり、また「その上司の言うことはどんなことでも気に入らない」という部下の心が見えています。部下の育成に情熱を持っている上司、何かの事情で満たされていない部下の逆恨みという典型的なパターンです。
事例:
ある部下の新居購入祝いで数人の部下を率いて飲み会を開催した。上司はお祝いの席であり、年に何回もあることではないので全出費、8万円を個人で負担したのだが、祝ってもらったはずの部下に「悪いことをたくらんでいる」と予想もしないウワサをたてられてしまった。
その部下は奢ってもらうことを「ありがたい」などとは少しも思っておらず、むしろ不信感の中でその席に参加していたことになります。このようなタイプの部下との信頼関係構築はとても難しく、部下からの感謝の言葉をあてにしない、このような行動に頭に来ない、そして、自分のためならどんなことでも言い、平気でやる、「普通の人間」である部下を侮らないことを管理職が学ぶべきです。
事例:
部下に対しては、人間味を出し、正直に付き合いたいと思っていた上司が、部下に自分のプライベートのことや、学生時代の楽しかったことや失敗談などの思い出話をした。後日、矮小化された形で社内のウワサになっており、自分が笑いものになっていることを知った。
人間味を出して部下と接すること自体が人としての間違いではない以上、その部下の行動は上司との信頼関係の欠如に起因している可能性が高いと考えられます。その部下は上司によって自己重要感が満たされない何かを感じてる可能性があり、また、上司の「仕事上の力(権力)」、「人間的な力(魅力)」の集大成である「仕事を成功させる力(影響力)」が職責、現実に対応するために必要なレベルに相応でない可能性があります。
事例:
ある部下が、自分が気に入らないことを時間や方法を問わずクレームしてくる。上司は、その部下のワガママ、あれが気に入らない、許せない、あいつはおかしい、という話にきちんと付き合い、出来る限り良い労働環境を作ろうと努力したが、部下は辞表を出し、「最悪」と大変な批判を受けてしまった。
その部下は自分に良く取り計らってもらうことが当然という感覚を持ち、また、そうならない環境に不満に感じています。クレームしてくる段階で既に情緒不安定気味であり、文句を言われている対象よりも、むしろ、言ってくる本人の方に問題がある場合があります。そのような部下は、情報を操作しようとする傾向があり、八方美人的な動きをしているうちに自ら精神を病んでいくことがあります。
事例:
ある上司は、部下の仕事として重要なプロジェクトを任せてきた。ある事務職の部下は上司が直接仕事に介入してこないため、「本当は仕事ができない」というウワサをたて、「自分より能力が低いくせに」などと上司を侮辱するようになった。
その部下にとって、何を侮辱するか、何を言うかはどうでも良く、とにかくその上司が嫌いという気持ちが言動に表れています。上司に何らかの恨みがあるのか、満たされていない捌け口なのか、上司の能力に嫉妬しているのか、その心理状態を推し量ることはできませんが、そのような部下に対しては焦らず、事務的な対応を積み重ねていくことでしか対応できないでしょう。
部下のメンタルヘルス
会社組織は基本的には縦社会です。命令と遂行の関係で成り立ち、判断、命令は上司の仕事です。一方で、価値観の違う隣人同士の横のお付き合いであり、一方的押し付けは不可。相互の信頼、尊敬、理解で成り立つものでもあります。縦関係、横関係の絶妙なバランス感覚がない場合、管理職を全うすることはできません。
部下が何かおかしいな?と感じたら
部下の行動や言動、精神的な様子が何かおかしい、負の方向に変化した、態度が変わったなと感じることがあったら、それは離職ハザードです。離職なら良いかもしれません。上司に牙をむき、大きな騒ぎを起こす可能性すらあります。部全体の問題であり、本人だけの問題ではありません。
また、メンタルの異常は、メンタルな症状で現れてくるとは限りません。それを知った上で部下を観察、対応しないと間違えてしまいます。メンタルな問題の現われ方は、今までたいしたことのなかった持病を悪化させる、身体的症状の変化という形で見えてくる場合もあります。
心身症
胃腸の調子が悪い
下痢が続く
血圧が異常になった
食欲不振・過食
円形脱毛症 疲れがとれない
神経症
動機
震え
不眠症
自律神経失調症
その他
うつ病
反応性憎悪
ここで重要なポイントがあります。それは、「直属の上司はカウンセラーの代わりにはなれない」ということです。部下があなたに不満を持っている場合はもちろん、性別上言い難い問題がある場合や、年齢が近すぎる場合など、あなた自身は相談相手にはなれないのです。
その様な場合、人事や専門の相談室が対応してくれればベストですが、要員が確保できない場合には、外部の専門家に委ねるのが良いでしょう。最悪のケースは、他部門の適当な管理職が対応し、相談者の上司であるあなたをを批判したり、「あいつはダメだな~」的な対応をすることです。これは最悪な対応です。やめさせましょう。ウワサがウワサを呼び、全く収拾がつかなくなります。
専門家に委ねるかどうかの判断は、部下に声をかけた時の反応で判断します。大抵の場合、何らかの身体的な不調がでてきています。そこをきっかけにカウンセリングや病院、休養を提案します。生活のリズム、食事、睡眠のサイクルやバランスが崩れている、或いは、どこかが痛い、疲れがとれないなどの前述の症状を訴えてきた場合、すぐに対応をしてあげる必要があります。
うつ病を見逃すと大変なことに
自ら、「ストレス性の病気になりました」、「軽いうつです」、と積極的に発言する人には大きな問題がない場合が多く、上司に一言言ってやりたい、爆弾を投げたいという気持ちの現れです。「そうですか、では通院して下さい」と事務的に対応しましょう。気を付けるべきは、真面目で誠実、頑張り屋の部下です。あなたと信頼関係があり、本当に精神的に参っている場合なのです。
● 急に痩せてくる、太ってくる
● 土気色の顔色
● 表情、目の生気のなさ
● 単調な話し方
● 無気力、悲哀、エネルギー減退、イライラ、焦燥感
転職したばかりなどの場合、慣れない環境、言葉での仕事に神経をすり減らしています。サラリーマンの自殺の多さは相変わらずです。いかにストレスの溜まる仕事かが分かります。
● 不眠
● 人付き合いを面倒くさがる
● 体のあちこちが不調と言う
● 家の中が片付けられない、家事ができないと言う
● 仕事の能率が悪い、ミスが多い
● 周りが何で楽しいのかわからない
● 独り言が多い
● 他部門との付き合いが急に増える
効果的な質問:
01. ここ一ヶ月、気分が落ち込んで憂鬱になったことがありますか?
02. または、興味がなくなったり、楽しくなったことがありますか?
「はい」と言われたら内容がどうであれ対応が必要です。コミュニケーションを確保し、孤立感を与えないようにします。原因が自分への不満だと感じられる場合、専門家に委ねましょう。予防と初期治療が大切です。見過ごすと大変に大きな損失に繋がります。
声をかけ、話を聴く
自分の意見を言って聞かせるのではない。相手を重要な人材と再認識し、傾聴すること。
環境を微調整する
カーテンの色を変えてみる。ポスターを貼ってみるなどの小さな事を実践してみましょう。
身体も考える
心のケア=メンタルだけの治療、とは限らない。運動をさせたり、気分転換をすすめる。
限定的に考える
この人はこういう人間なのだ、というように考えない。一つの表現、訴えだと捉え、対応する。
カウンセリング・薬物治療
専門家に治療を任せる。心のケアとなれば素人治療は厳禁。
休職・退職をすすめる
長い人生健康が第一です。社会復帰してもらえる道の模索を。
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